ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です

 
アラブストリートにて(アラブストリート・シンガポール) 2003/06/22
私にとってシンガポールとは所詮はハブ空港(巨大経由地)にしか過ぎなかった。そ んなシンガポールに一泊だけしたことがある。数年前にモルディブを旅行した際、シ ンガポールで乗り継ぎに失敗し、足止めを余儀なくされたときである。▲台風の影響 で関西空港の発着が大幅に遅れた。予め乗り継ぎ時間には余裕があったのだが、 それでもシンガポールに着いた時は、僅か30分前にモルディブ行きの便は既に飛び 立っていた。次の便は約23時間半後。仕方がないので空港内のホテルに泊まり、翌 日市内へ繰り出した。手荷物以外は全て泣き別れとなっていたので不便極まりなか った。更に当時は英語が全くしゃべれなかったので、広大なチャンギ空港内を足を 棒にして歩き回ってしまった。▲シンガポールではトランジットという制度があって、 24時間以内の滞在であれば無税・無審査で空港外に出れた。タクシーと地下鉄でマ ーライオンやチャイナタウンを足早に回った。なにしろ滞在予定が無かったのだから 右も左もわからない。▲アラブストリートのテキ屋で叔父さんに皮ベルトを土産に買う ことにした。店主は若い奥さん。私が卓上に並べられた品物を物色していると、小綺 麗な店主は彼女の息子と思われる子に店番をまかせてその場を去った。▲ヘビの 尾頭付きのいかにもグロテスクなベルトを見つけ、その小僧に「いくら?」と聞いてみ た。当然留守番の子供に値段交渉など出来るはずもなく、私は日本円1000円相当 のシンガポール・ドル紙幣を渡した。丁度、母親が戻ってきた。その子供は興奮した 様子で母親に「売れたよ!」とでも言っているようだった。母親はベルトを袋に詰め、 釣りを私に渡した。私は釣りをそっくりその子供に手渡した。母親と子供、そして私 の3人が同時にニコッとしてアラブストリートでのショッピングは終了した。




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