ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です

 
ミスター・サマータイム(NSW州・オーストラリア連邦) 2003/06/15
「青春工房Vo.4」収録の「Mr.サマータイム(サーカス)」でこのタイトルを思い出した訳 ではない。「今日のひとRiごと(6/13)」で出た話題の補足である。▲私が滞在してい たゴールドコースト(クィーンズランド州)にサマータイムは存在しなかった。ところが 僅か20kmばかり南の町はNSW(ニュー・サウス・ウェールズ)州。その州には毎年10 月最後の日曜日から3月まで、サマータイムが導入されていた。同じ経度上にありな がら、夏の半年間はこれらの州で時差が生じたわけである。日本でいえば、東京都 ではサマータイムが実施されて、神奈川県では実施されないと言ったようなもの。▲ サマータイム実施の目的は、有効な一日の活用。つまり、日の出から起床までの無 駄な時間を切り詰め、アフターファイブから日の入りまでの時間を余暇などで有効に 使おうとするもの。消費拡大も期待され、日本でも導入の是非がこれまでに検討さ れてきたが、未だ実現していない。▲オーストラリアのNSW 州ではこの日(10月最 後の日曜日)に一斉に時計の時刻を1時間早まらせる作業が行われる。例えば毎 朝7時に起床する日課の人は、実際には(いつもなら)朝の7時なのに、この日から は6時起きとなる。時計を進ませているのだから、この時示す時計の時刻は朝7時。 非常にややこしいが、生活習慣を早める為に規則を変えるのではなくて(出勤や登 校を1時間早める決まりを作るわけではない)、時計そのものを社会全体で半年間 進めてしまうのである。経験のない私(日本人)にとってはややこしくて馴染めない制 度だった。▲経済効果も絶大なこの制度も、不便極まりない例が何点かあった。ひ とつは州境に住む人々。サマータイムが実施される州とされない州の境では大変な ことになる。仕事場や学校と住居が州をまたげば、生活に1時間の時差が生じてし まう。更に家族の中で、州をまたいで登校する子供とまたがないで登校する子供が いれば、同じ兄妹でも家庭内の日課で1時間の時差を背負うことになる。▲私自 身、友人たちと州を越えて「ラフティング(急流いかだ下り)」に行ったとき、現地時間 を確かめなかったために大失敗した経験があった。実施する場合は国単位で、境 界は作らないでもらいたい。




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