ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です

 
怪しい親切・余計なお世話(マニラ・フィリピン共和国) 後編 2003/04/13
10分、20分とマニラの街を歩く。やっとたどり着いたインターネット・カフェは先ほど この小男と出会った地点から目と鼻の先であった。私がメールをチェックしている 間、この男はカウンターにただじっと座って待っている。▲「そろそろこの男とはおさ らばだ」。そう思った私はカフェを出ると、「ケソンに行くから」と言って走り去るつもり だった。しかし男はまだ追いかけて来る。「ケソンは自分が案内するから」と主張す る。あまりのしつこさに私は少しキレた。声を張り上げて「独りで行く!」と怒鳴ると、 今度は金を要求してきた。ある程度は予想していたことなので、財布から日本円に して100円相当の紙幣を差し出すと、ここまでの案内料としては安すぎると主張す る。別にこちらから頼んで案内してもらったわけではないので、いよいよここは「殺し 文句」の登場だった。「Go to a police station」。少し気の毒な気もしたが、小男は逃 げるようにその場を去った。▲さて、この男の描いたシナリオとはどんなものだった のだろうか。ある程度の信頼関係が生まれると、家族や親戚の家に招待する。あと で場所が思い出されないように、ジプニー(乗り合いバス)を複雑に乗り継いで向か う。振る舞われた飲食物には睡眠薬が一服盛られており、目が覚めると現金・カード などの貴重品が無くなっている。最悪の場合は腎臓などの臓器も。▲或いは、いい レストランや遊び場があると紹介し、そこに向かうタクシーが人里離れた方向に進路 を変える。山奥で待ちかまえているのは仲間たち。あとは想像にお任せする。▲こ のような最悪のシナリオは希にしても、人が利得抜きで親切を振る舞うわけがない。 まして相手が美人の若い女の子なら尚更のこと。日本人は恰好のカモなのだ。この 点を充分に理解してないと、東南アジアのひとり旅は損ばかり、得るものなど何もな くなってしまう。




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