ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です
街角の寸借詐欺(マニラ・フィリピン共和国) 2003/03/16
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私が泊まったマニラ・エルミタ地区の「ラ・コロナホテル」は長距離バスの始発駅に近
いところに立地していた。散歩がてらのホテルへの帰り道によく、路上に群がる人々
にこんな声のかけられ方をした。「これから・・・州の家に帰るのですが、バス賃が無
くて困っています。どうか私たちに融通して下さい」。大概2、3人の子連れの婦人
で、ひとりの子供を背負っている。そして何よりも切迫した独特の雰囲気を滲み出し
ていた。「それは大変だ」と、日本円で500円位ならカンパしてあげようかと思いき
や、「47US$必要なんです」、ときた。財布に伸びかけた手を引っ込めて「no money」
とだけ言ってその場を立ち去った。▲次の日も、その次の日もその場所を通るたび
に同じ家族に同じ内容で金請いを受けた。▲舞台は変わって「パングラオ島」。無事
銀行でキャッシングをし終えた私は昼食がてら繁華街をブラついていた。2人の子連
れ婦人が現れ、わりと大きい男の子が缶を片手に私に言い寄ってきた。「弟にバナ
ナを食べさせたいからお金を恵んでくれ」と。小銭を集めてその缶に入れてやった
が、この家族に関しては寸借詐欺などではないだろうと私は思いたかった。何故な
ら、母親に背負われたその弟らしい赤ん坊は本当に具合が悪そうでぐったりとして
いたからだ。
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