ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です
スコール(マニラ・フィリピン共和国−その2−) 2003/02/09
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マニラの都市整備は日本のものと比べて格段に遅れている。とにかく街が歩きにく
いのだ、なに不自由のない人間にとってもである。歩道の高架も無く、当然地下道も
ない。横断歩道も滅多に無く、道路に路肩もない。それでも街には人が溢れている。
▲高架鉄道の利用をしてみたが、どの駅も改札の出入り口は1カ所のみだった。通
りを挟んで反対側の改札に行くには中央分離帯の柵がある道路を横切らなくてはな
らない。マニラの主要な交通機関はジプニーと呼ばれる米軍払い下げのジープを改
造したタクシーとバスのアイノコなのだが、雨が降ると鉄道にも通勤・通学・買い物客
が殺到する。老若男女みんな無き路肩に行列をなし、道路中央の柵越えに挑戦す
る。▲晴れた日は当たり前のそんな風景も、土砂降りのスコール時には状況も一変
する。道路はものの数分で水浸しとなり、積もりつもったほこりが雨水に溶けて泥流
となる。さすがのマニラっ子も靴は濡らしたくないので、道路横断に躊躇する。やが
て道路の両端には駅の降り口を中心に足止めを食らった人々の大きな群れが形成
される。▲どこからともなく数人の男どもが雨具なしで道路上に現れた。彼らは道端
から板切れを運び出し、その板を道路中央に向けて道路と直角に投げ出した。超簡
易的かつ原始的な橋だったのだ。橋の入り口部分には空き缶を携えるひとりの男。
集めた通行料を貯めるカンなのだ。通行料の相場はひとり5フィリピンペソ≒15円。
中央分離帯の柵を必死でノリ越えるとまた反対側にも別の関所があった。カンの5
ペソ硬化は見る見るうちに満杯になっていった。
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