ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です

 
海上の物乞い(バタンガス・フィリピン共和国) 2005/10/30
 ルソン島中央部バタンガス州の州都が「バタンガス」という港町。ミンドロ島へのア クセスの拠点として有名な都市である。マニラからは車で約2時間の場所に位置す る。ここから更にボートや船に乗ること1時間でミンドロ島に到着する。
 バタンガスの港で、我々観光客を出迎えたのは物乞いの子供たちである。ミンドロ 行きの船に乗船するないなや、手製の筏(イカダ)でやって来る。そして船内に手を 差しのべて、
 「ダイム、ダイム」
と、騒ぎ始める。ダイムとは米ドルの10セント硬貨のことである。ここでは、1ペソや5 ペソの価値の低い硬貨を意味するのだろう。
 こいつらが結構しつこいのだ。出航の時間ぎりぎりまで物乞いの行為は続く。
 ある西洋人客が遠くに1枚の硬貨を投げ放った。それを追って、5〜6人の子供が 水中に飛び込む。まるでショーだ。
 ショーといえば、こんな光景も目にした。筏の上に幼い女の子を乗せて、置き去り にするのだ。泣きわめく幼女が見せ物となって、おひねりをねだる作戦なのだろう。
 港とはいえ、透明度のある青い海。そんな景色よりも物乞いたちの印象が強く残っ てしまった「バタンガス」での想い出である。




戻る
前へ
次へ