ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です

 
続・地上の楽園(マニラ・フィリピン共和国)後編 (甲) 2005/10/22
(中編より) 

 今回も、マニラでの宿泊はエルミタ地区のホテルにした。エルミタという町はマニラ 市内にある。一般に、マニラと言えば近辺の市(マニラ市、パサイ市、マカティ行政 地域、ケソン市など)を総称して呼ぶことが多い。現地の人たちは、マニラ市とマニラ 首都圏を区別するために、「メトロ・マニラ」と後者を呼ぶことが多い。「東京23区」み たいな呼び方である。
 エルミタは旅行者にとって便利な土地である。両替商、銀行、旅行会社、コンビ ニ、食堂、ホテルなどが密集して存在するからだ。デパートも「ロビンソン・ショッピン グセンター」が徒歩圏内にある。
 午後7時。マニラの街は完全に日が暮れた。ホテル裏側の「いせや」という日本食 レストランで飲み始める。ここに面する通りが、「M.H.デル・ピラール通り」である。こ の通りを東へ1.5Km程の場所に「Black & Silver」が在るわけである。
 天ぷら、刺身、焼き鳥などを堪能した。数多い在マニラ日本レストランにおいて、 「いせや」はずば抜けて安い店だと思う。話を聞けば、板前は全てフィリピーノとのこ と。これが安さの秘訣であろう。
 合計、おちょうし3合ほどを含んで、「いせや」を後にする。タクシーを捕まえ、 「Black & Silver」の名刺を見せる。車内の時計はジャスト9:00PMだった。
 
 「いらっしゃいませー!」
総勢25名の歓迎を受けた。今回も、この入り口付近でビックリと腰を抜かす。とにか く毎回(たった2回目だが)、大人数の歓迎には驚いてしまう。タレント(ホステス)た ちはお揃いのジャケット姿だった。色はグレー、銀行やデパートの制服みたいだ。3 年前の時は、ピンクのドレス姿だったことを思い出す。
 店内の客は皆無。1時間後に、邦人の老人4人連れが来店したものの、1時間ほ ど歌って帰って行った。それ以外にこの日の客は無し。午後9時前のことは知らない が。
 我がテーブルに5人のタレントが着いた。
 「懐かしいな」
と、私は日本語でつぶやいた。すると、テーブルのみんなも
 「懐かしい、懐かしい」
と、日本語を真似する。圧倒的に日本人をターゲットにしている店なので、タレントや スタッフたちは最低限の日本語は喋れる。
 「”懐かしい”って、英語だと何かなあ?」
と、今度は英語で聞いてみた。みんな一斉に考え込む。
 「”Long time no see”よ」
と、ひとりのタレントが言った。私は、
 「チョット違うかな? ”Long time no see”だと、”お久しぶり”の意味だよ」
と、ウンチクを述べる。結局、私が発した「懐かしい」の意味は、みんなには解って貰 えなかった。(後編 乙に続く)




戻る
前へ
次へ