ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です
続・地上の楽園(マニラ・フィリピン共和国)後編 (丙) 2005/10/22
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(後編 乙より)
細長く狭い店内、25名の綺麗所が一列に並ぶ。イントロが始まった。前回と同じ、
長渕剛の「しゃぼんだま」。実は、この歌を完璧に歌いこなすために、ここ3年間日
本のカラオケで歌うときは必ずこの曲を入れて特訓してきた。
カウンター前にある小さなステージに誘導されてきた時に、思わず「アッ!」と声を
上げてしまった。矢沢永吉似のマスターと思われるオジサンが私にマイクを手渡して
くれたのだ。そして、右手の親指を上に突きだして、
「I remeber you」
と、一言発した。
歌うことに集中しすぎて、モニターを見っぱなしだった。お陰で、女の子たちの華麗
なダンスは見損なってしまった。今こうして、コラムを書いている最中にも後悔の念で
一杯だ。
間髪入れずに2曲目が始まった。今度は布袋寅泰の「ラストシーン」の曲だった。
前回の時も、2曲目はこの歌だったことをこの時に思い出した。3年前、帰国後にこ
の曲名を思い出そうと何度も試みたが無理であった。そうこうしている間に3年の月
日が流れてしまった。
やはりこの歌は自分には歌いこなせない。自身無さそうに小声で歌っていたら、矢
沢永吉がヘルプしてくれた。後ろで歌ってくれるのだ。3年越しで、2回も同じ様な助
けをこのオヤジから受けてしまった。
後日談である。この時の曲を「ラストシーン」とまでシッカリと覚えたのは良かった。
しかし、歌手名までは全然知らなかった。確か、矢沢永吉の持ち唄に「ラストシーン」
という曲があったのを思い出して、帰国後に早速聴いたが別物だった。このオヤジ
が余りにも矢沢永吉に似ていたので、変な先入観を呼び込んでしまったのかもしれ
ない。それほど似ている顔立ちである。
テーブル席に戻ると、フルーツ盛り合わせのオーダーを催促された。ここでまた3
年前のことを思い出した。このフルーツ盛りはくせ者(物)で、えらく値段が高いの
だ。
「前回、これで失敗したんだ。お陰で一文無しになってしまった」
と、私は愚痴を言った。すると、ジャッキーは
「あの時は1500ペソだったけど、今は1000ペソ(2200円)だからいいでしょう」
と、更にねだる。結局オイラが負けてオーダーが入った。
ここでまた思い出した事がある。奴ら(タレントたち)は飢えているのだ。こっちが注
文した料理をアットいう間に平らげられてしまうのだ。自分の口に入る部分なんて、
最初の一口だけだった。
例によって、今回もそうだった。見事に飾り盛りつけられた大皿のフルーツが、も
のの2〜3分で空になった。これではいくらなんでもお客に対して失礼と感じたのであ
ろうか、2皿目が運ばれてきた。今度はスイカのカットされた物だけが載っていた。
「サービスだから(遠慮なく食べてネ)」
と、言われたものの、こちらの皿も空になるのに数分と要さなかった。(後編 丁に続
く)
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