ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です

 
格安公共交通機関・ベモ(ロンボク島・インドネシア共和国)後編 2003/11/20
 通常ベモは、定員に満たないうちは始発地を発車しません。つまり、乗客が定員 の人数まで集まるまでは永遠とスタートしないのです。当然、1人目の乗客は多く待 たされることになります。大体、4人目くらいで乗客たちが「早く出せ!」と、運転手を あおります。ここで発車させる運転手もいますが、もっと粘る(待つ)運転手もいま す。急ぐ場合は、未定員分をひとりで買い占めれば勿論発車してくれます。例えば3 人目の客が残りの5、6人分の席を買い占めれば発車させてくれますが、途中で拾 った新たな客はどんどん乗ってきます。1人目が買い占めればチャーターとして即発 車なのですが、不思議にも後から後から客を乗せられたことがありました。
 降りるときは「ストップ!」と言うか、天井をたたけばその場で止めてくれます。客が 降りれば定員が減り、再び商魂たくましい運転手は新たな乗客の勧誘に勢力を注ぎ 出します。
 通常ベモは運転手と料金係の助手の2名体制から成っています。通りを歩く人を 見かけては、運転手はその都度ベモを止め、助手は走って行って勧誘に当たりま す。助手のいないベモはドライバーがひとりで勧誘もします。だからベモはいつまで 経っても、なかなか目的地まで着きません。スピードを上げて一気に走るのは定員 が満ちている瞬間だけ。
  クーラーなど無く、時にはすし詰め、歩く方が早いくらいの快適さは全くない「ベ モ」。でも車内では乗客同士で気軽におしゃべりできます。特に外国人の珍しい土地 では注目度100%。日本人の名前をひとり知っているという年輩の助手がいて、その 助手はしきりに「ヒロヒト」と言っていました。太平洋戦争中は激戦地だったのでしょう ね、インドネシアは。




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