ルポタージュ「KAIGAI」
私が海外で体験した海外四方山話集です
国営の書店?(ホーチミン・ベトナム社会主義共和国) 2003/04/25
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初めて訪問した共産主義国。コンビニ・ファーストフードの店は皆無。我が幼少の頃
にタイムスリップしたみたいに、雑貨屋を駆け回るしか買い物の術はない。これが不
便極まりない。例えば、たばこ、リンス、フルーツ、絵はがき、切手、新聞、フイルム
を買いに外に出たとすると、最低でも5軒の店を行脚することになる。反面、小さな
店や屋台、果てには売り子も頻繁に歩いているので、それほど苦労することもなく手
に入るのではあるが。▲何でも揃う百貨店は巨大だった。しかも国営。驚いたのは
普通の本屋さんも国営だったこと。土産に万年筆を買いたかったので、その国営書
店を覗いてみた。▲日本の紀伊国屋や久美堂書店ほどの規模は勿論無く、ブック・
オフくらいの敷地面積で2階建て。教科書や専門書などのマジな本が所狭しと並ん
で、これでは国営でないとやっていけないのも納得。▲客より多い従業員の数にま
ず驚いた。「棚卸し」をやっているらしく、皆忙しそうだ。誰も客を相手にするほど暇で
はないらしい。そんなひとりの女従業員をつかまえて、「万年筆を見せて欲しい」と頼
んだ。女はショーケースから無造作に数本取り出した。「他の色のも見せて」と頼む
と、無言でわし掴みでまた数本を出した。1本60円足らずなので、「この色とこの色
を10本ずつ下さい」と、注文する。今度は少し驚いた様子だったが、相変わらず無
造作にわし掴みで10本ずつ輪ゴムで束ねだした。「ケースは無いの?」と聞くと、
「ひと箱1000ドン(約9円)」と言って、棚からガチャガチャと取り出した。スーパー袋
に無造作にこれらを詰め込んで「一丁上がり」。そんな感じだった。▲資本主義の免
税店あたりではしつこく客のあとを追い回す店員が多いなか、ここではゆっくりと落ち
着いて買い物ができる。別に売り上げが給与に反映することもないからだと思うが、
日本の親方日の丸・役所の人間の対応をフト思い出した。
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